なかの談志独演会
なかの談志独演会
2008年4月8日(火)会場:なかのZERO 小ホール

プログラムをみて、今日は前座なし、
市馬さんと家元二席と知ったときは、ちょっと驚きつつ、
凄い会になりそうだ、とワクワクしました。
柳亭市馬「掛け取り」
いつもの笑顔で登場した市馬さん。
「今日の会に出られることが大変うれしくて誇らしい」と
うれしそうにしつつ、しかし裏腹に少し緊張もされているそう。
大阪で桂春団次さんの喜寿の祝いの会に出て、
上野・鈴本演芸場に戻ったら川柳川柳の喜寿の祝いがあった。
「同じ喜寿でも、、、」と笑わせる。
噺のほうは、春先の陽気を
完全に無視した大晦日の噺で「掛け取り」でした。
お客さんも「わかっていて」ウワァーという拍手。
狂歌から相撲甚句、芝居と絶品ののどを聞かせつつ、
最後は昭和歌謡が炸裂する「掛け取り美智也」に場内は大喜び。
そして「まだまだ」と、いつもより、
かなり歌いっぷりが良かったのですが、それもそのハズ、
家元(談志)と市馬さんをつなぐものは歌謡曲(うた)なのであります。
立川談志「黄金の大黒」
「アイツおもしろいよ。ああいうアレンジならいい」
「オレを楽しませようという了見がよい」と市馬さんをほめる家元。
すでにこの時点で、この会に来て良かったー思いました。
辛酸なめ子なんて、とんでもない名前のヤツが居るが、
金玉なめ子のほうがよっぽど会話がはずんで良いんじゃないか。
なんてうれしそうに言う。
「黄金の大黒」は、たくさんいる長屋の住人達の
一人一人が生き生きとしているのが印象的で、
細かいことよりも「ありそう」という台詞や会話が、
リアリティのある笑いをつくっていきます。
嘘がないし、かといって生々しすぎるわけでもない、
毒気があるようで、とても優しい、というようなことが、
家元の落語に感じる魅力なのかも知れませんなァ。
この噺と関係ないかも知れないけど。
仲入り
立川談志「黄金餅」
市馬さんが家元に稽古を願い出ていた「黄金餅」を演るとのこと。
ただ声の不調がかなりものもで、焼き場に着いたあたりから、
「はしょって」ラストまで語ることに。
道中付け(地名を並べて、道行きを語る)の部分の
リズムの心地よさ、
そして「現代ならこういうルートだから」という部分
(これも最後まで行かなかったけれど)すごい良いですよね。
夢中になりました。
で、サゲまでいったあと、
あの場面はこう、この場面はこう、と
演ってなかったシーンを演りはじめました。
今日は出来が良くなかったと思った家元が、
サゲのあとも、なかなか終わらないことがありますが、
今日もそういう感じだったんですかね。
ドキっとしたのは焼き場に行く金さんの、
金への執念と、恐怖の入り交じる、暗がりの一人道。
ミステリーでもあるし、ドラマもある。
ここでギュっと客の胃袋を縮めさせておいて、
アジ切り包丁で死体を切るシーンに続くのだから、
さぞ通してきいたら、すごいんだろうなァ。

